芸術見聞録

展覧会の予習、感想など。

シャセリオー展 予習 6

シャセリオーは版画も描いている。なぜ版画を描いたのかは不明なようだが、独特の技法に挑戦したのであろう。色がないのでつまらないかと思ったが、シャセリオーならではの独特な世界が展開されている。会場にも版画の展示があるというので楽しみである。

エッチングはある程度彫り進めれば、あとは腐食液で処理すれば良いのでそれほど時間がかからない。そして、この作品で決して見落としてならないのは、たんにエッチングだけの制作ではないということである。どの版もドライポイントやビュランやルーレット、場合によってはアクアティントまで導入されている。(中略)

その上さらにエッチングの自由自在な表現の利点も十分彼は承知していた。 

 「ドラクロワとシャセリオーの版画」橋 秀文編著 p.74より引用。

作品「もし私があなたより先に死んだら・・・」

If I Do Die Before Thee, plate eight from Othello | The Art Institute of Chicago

シェイクスピアの悲劇、「オセロー」からの場面である。シャセリオーはロッシーニのオペラ「オセロー」でデズモーナを演じたオペラ歌手、マリブランの面影を偲んで描いたという。女優や歌手に憧れ、そこからインスピレーションを得るというのはいかにもロマン主義という感じである。

現代の我々からするとあまりにもロマンティックすぎる感があるが、それでも彼らの純粋な熱情というのは我々を捉えて離さないのだ。

シャセリオーは版画の作品をいくつも油絵に描き直している。

Theodore Chasseriau(クリックした後、カーソルを上に置いて見てください)

 版画は油絵の習作のつもりで描いたのかと思ったが、違う。それぞれの絵は構図は同じだが、全く別物という感じがする。それぞれの技法を生かすように描かれていると思う。この点を見ても、並々ならぬ才能だと感じた。

会場に行ったら、版画と油彩画の違いをじっくり見てこようと思う。

シャセリオーの版画

Chasseriau, Theodore | The Art Institute of Chicago

 

 

芸術新潮 2017年 05 月号

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