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芸術見聞録

展覧会の予習、感想など。他に時事問題のブログもやってます。http://hayanosuke.hatenablog.com/

バベルの塔展予習 5

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拡大図

ヒエロニムス・ボス - Google Arts & Culture

さて、この世で淫楽に耽って只で済むわけではなく、死んだらそれでお終いと思っていた人間にはまだ先があった・・・右側の地獄である。

日本にも古来、地獄を描いた絵があるが、これほど凄まじいものは無いように思う。画面左下からやや上に楽器があるが、楽しい音楽を奏でるはずの楽器が拷問の道具にされている。弦楽器は古来、恋愛、性欲の象徴であった。

その右下にはロバ(愚者の象徴)に抱えられた女が生気の抜けたようになっており、悪魔の尻にある鏡に自分の姿を写している。胸元にカエルが張り付いているが、「穢れた霊」を表す。(黙示録第16章、第13節ー「私はカエルのように見える3つの穢れた霊を見た」)こういう女は現代では多くいると思うが、この地獄では恋愛という名目や化粧で誤魔化すことはできない。

とりわけ目を引くのが、足が枯れ木、胴体が卵の殻のようで、こちらに微笑む男である。この「枯れ木男」のデッサンがある。

The Tree-Man, c. 1505 - Google Arts & Culture

こういう絵を描く人間は頭がおかしいのではと思われそうだが、デタラメと片付けられないものがある。中世の時代からボスの絵は異端視されるどころか大人気で、何とも言えない魅力がある。

「悦楽の園」の絵だが、この男の足から少し血がでていて、それを縛ってあるのがリアルである。卵型の胴体の中では愚者が酒盛りをしている。地獄にはろくな酒もあるまいが、愚者はそこでも飲まずにはいられないらしい。

ボスの描く怪物はどこかユーモラスだが、地獄は本当にあるかも知れないと思うと空恐ろしくなる。

参考文献ー「芸術新潮」2014年、9月号。

ボスの作品を完全網羅したサイト。細部の拡大画像がある。

The complete works - Hieronymous Bosch - Page 1

 

 「バベルの塔展」では単眼鏡を持ってくる人が多いそうです。なんせブリューゲルは細かいですから・・・。