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芸術見聞録

展覧会の予習、感想など。

絵画に描かれている人のしぐさに意味がある? (レオナルド・ダ・ヴィンチ 最後の晩餐)

絵画は特に予備知識がなくとも自分なりに楽しめるが、いろいろ知っておくとより興味が増し、もっと楽しめる。

著者の宮下喜久朗氏は神戸大学教授、美術史家で、特にベネツィア美術、

ヴェネツィア――美の都の一千年 (岩波新書)

また、カラバッジョの権威である。

カラヴァッジョ巡礼 (とんぼの本)

私は「ティツィアーノ展」(4月2日終了)で宮下氏の講演を聴いたが、その造詣の深さとユーモアを交えた講義の楽しさに感銘を受けた。

この、しぐさで読む美術史 (ちくま文庫)は主として西洋絵画に描かれている人物のポーズやジェスチャーについて、時には日本美術と比較しながら解説するものである。

六世紀の教皇グレゴリウス(1世)は「絵画は文盲の聖書」とし、絵画は聖書の物語を伝え、信者の信仰心を高める役割をもっていると規定した。 

(p.6より引用。)

それゆえ、絵画における人物のジェスチャーが追求されたという。

そういえば、絵画を鑑賞すると、様々な人物が意味ありげなポーズをとっている。

例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐では、

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(画像はパブリックドメインです)

拡大画像

レオナルド・ダ・ヴィンチ - Wikipedia

画面右側の三人が議論している。

「先生は一体何を言っているのか?」

「我々の中の誰かが先生を裏切ると言っておられるのだ。」

「まさか!」

「一体誰だろう?」

「あいつじゃないか?」

などと、声が聞こえてきそうである。(セリフは私の想像である。)

その隣の弟子は自分の胸を指し、

「まさか私ではないでしょう?」

と潔白を訴えている。

両手を大きく広げるのは悲しみを表す。

人差し指を天に突き上げている弟子は、

「裏切る奴の名前を言ってください!」と詰問している。

 (「最後の晩餐」は Home - Haltadefinizione のサイトで高解像度で観ることができる。他のルネサンス絵画も。登録無料。)

「受胎告知」をテーマに様々な絵が描かれているが、五つの場面設定に分けられ、様々な聖母のジェスチャーがあるという。

エル・グレコの「受胎告知」http://www.ohara.or.jp/201001/jp/C/C3a03.htmlでは、聖母マリアが少し手を上げているが、これは「問いかけ」を表すのだそうだ。いきなり天使が現れたらもう少し動揺しても良さそうなものだが、この絵のマリアさんは実に冷静だ。清楚で柔順な感じが良く出ている。

 

しぐさで読む美術史 (ちくま文庫)

しぐさで読む美術史 (ちくま文庫)