芸術見聞録

展覧会の予習、感想など。

エリアフ・インバル指揮 ベルリンコンツェルトハウス管弦楽団公演 2

現代はスコアがネットから無料でダウンロードできるという夢のような時代である。私はピアノの初級程度の楽譜しか読めないが、CDを聴きながら見てゆくと今まで朧気だった曲の輪郭がはっきりしてくる。

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マーラー交響曲第五番、第一楽章より。執拗なクレッシェンドとアクセント、デクレッシェンドがマーラーの特徴だ。そこに民謡のような装飾音が入る。全体が波打つような動きをし、不安が全体を支配する。

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バイオリンが突如高い音に跳ね上がる。これもマーラーの特徴だ。この世を去った後でもマーラーは苦悩とその感情を訴え続ける。それを現代でも体験できるというのは奇跡だと思う。

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ベートーヴェン交響曲第5番のリズムが、トランペットでアポカリプティック(apocalyptic)に繰り返される。マーラーは絶えず運命論に支配されていたのだろうか?

インバルは第一楽章が終わった後、直ぐに第二楽章に入った。この二つの楽章はセットなのでマーラーの意図を忠実に守っている。

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第二楽章の冒頭部分。この辺りでごちゃごちゃになってしまう演奏が多いが、インバルは激しさを保ちつつ、ぴたりと決まった。さすがに長年マーラーを専門にしてきた人だと思った。

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ハープのグリッサンド金管が勇壮な主題を演奏する部分。バイオリンのトレモロとアクセントで楽譜で見ても華やかだ。さすがにドイツのオーケストラ、ど迫力。

第一楽章、第二楽章は完璧な出来栄えだった。

 

マーラー:交響曲第5番

マーラー:交響曲第5番

 

 チェコフィルは一度実際に聴いたことがある。金管楽器が独特の明るい響きで、ちょっとパリ管弦楽団に似ている。弦楽器が非常に繊細な音を出し、ボヘミア文化を体現する存在と言っても良いだろう。マーラー自身もあるインタビューで「私はボヘミアンです」と答えている。

(つづく)