読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

芸術見聞録

展覧会の予習、感想など。他に時事問題のブログもやってます。http://hayanosuke.hatenablog.com/

ミュシャ展 雑感 3

とうとうNHKでムハのドキュメンタリーが放送されてしまった。やはりさすがという他はない出来栄え。画家がスラブ叙事詩の下絵を描いている映像は感無量だった。初公開のナチスの資料、最後に収監された独房の映像はNHKならでは。

しかし平和を願って民衆のために絵を描いてきた老人を「危険な愛国主義者」だとして連行するなんて・・・。ナチスの非道には改めて怒りを感じる。

f:id:Hayanosuke:20170314235032j:plain

永遠に若い姿を留めるミュシャの娘、ヤロスラヴァ。彼女も母となり、老人となり、今では墓の下に眠っているのだろう。しかしいつの時代にも別の少女が生きている。古い絵を見るたび、時の流れの非情さと、この世の不思議を思わざるを得ない。

 

スラブ叙事詩テンペラ画で描かれている。「ティツアーノとヴェネツィア派展」を観て来た私の目にはいささか平面的に見えたのだが、それはテンペラ画の特徴だそうである。

第1章 テンペラ画とは? | テンペラ工房

 古い聖母子の絵などで、テンペラ画は美術ファンにはお馴染みだが、顔料と卵黄を混ぜることで顔料本来の鮮やかな色が出るのだそうだ。色の劣化も油絵より少なく、ムハはあえてテンペラを選んだのだろう。

油絵と比べて重厚感にこそ欠けるが、艶消しで、古雅な趣がある。(英語のquaintという言葉がぴったり。)テンペラ画は20世紀頃から見直されてきたそうなので、ムハはトレンドを捉えていたわけだ。それにしても一体どれだけの数の卵を使ったのだろう、どれだけの目玉焼きができたことかと、もったいない発想の日本人としてはつい思ってしまうのであった。

  

ミュシャのすべて (角川新書)

ミュシャのすべて (角川新書)

 

 日本初上陸! ミュシャの代表作《スラヴ叙事詩》全作品を徹底解説!
2017年3月より、日本で初公開されるアルフォンス・ミュシャ晩年の超大作《スラヴ叙事詩》、全20作を詳解!
また人気の商業ポスター、装飾パネルから、挿絵、工芸デザイン、油彩画まで、ミュシャの全生涯における作品180点を、オールカラーで紹介します。